フェルメール「中断された音楽の稽古」を超解説!音楽のレッスン中に…

こんにちは!

今回は、フェルメールの《中断された音楽の稽古》についてです。

早速見ていきましょう!

中断された音楽の稽古

ヨハネス・フェルメール《中断された音楽の稽古》1658-1659年

音楽と求愛

音楽を奏でる様子をフェルメールはたびたび描いています。

17 世紀には、音楽は求愛と関連付けられていました。

お互いに音楽を演奏することは、異性の若者が交流できる数少ない活動の1つでした。

 

テーブルの上には、弦楽器のリュート(シターン)と声楽の楽譜が置いてあります。

 

五線譜上には点描で音符が丁寧に描かれています。

音楽を習うことがステータス

当時、上流階級の人々は音楽のレッスンを受けていたため、音楽を習うということはこの若い女性が高い身分であることを示しています。

女性

 

2 人の時間が突然邪魔されたかのように、椅子に座った女性が手にした楽譜からこちらに眼差しを向けています。

 

衣装の専門家によると、女性が被っているリンネル製のフードは装飾品としての意味もありますが、服を着る際や脱ぐ際に髪型を保護するために着用するものでもあったと指摘されています。

男性

 

男性と女性の関係は不明です。

 

彼は音楽教師でしょうか、あるいは彼女に求愛しているのでしょうか。

どちらにせよ、彼のファッショナブルな服装から、上流階級に属していると判断することができます。

 

帽子を被ってないこと、そしてワインのグラスが描かれていることから2人の親密性が示されています。

また、ワインは「誘惑」を表すモチーフですが、この絵ではグラスいっぱいの手つかずの状態で置いてあります。

 

横にある青と白の陶磁器のピッチャーには赤ワインが入っているのでしょう。

キューピッドの絵

 

上の画像は、画中画を明るく加工したものです。

恋愛というテーマが、部屋の奥にほの暗く見える左手を上げたキューピッドの絵画によってさらに強調されています。

この絵は、オットー・ファン・フェーンの『愛のエンブレム集』などの寓意画に由来しているのではないかと言われてます。

こうした寓意画集は当時とても人気があり、画家たちはインスピレーションを得るためによく図柄を参考にしていました。

「真実の愛はただ一人の人のためにある」を意味している等、このキューピッドの絵が正確に意味するところについてはさまざまに議論されています。

フェルメールの《窓辺で手紙を読む女》や《ヴァージナルの前に立つ女》などにもこの絵が登場しています。

窓からの光

 

複雑なデザインを持つパネルが格子状に組み合わされた特徴的な窓からは、穏やかな光が差し込んでいます。同じような作りの細かい窓は、フェルメールの他の作品にも描かれています。

他の作品にも登場する椅子

 

ライオンの頭部が彫刻されたスペイン椅子は、フェルメールの作品にたびたび登場します。

鳥かごは別の人間の加筆

 

左上の壁に掛けられた鳥かごは、家庭の主婦に期待される貞節を暗示しているものと思われますが、フェルメールではなく後世の別の画家による加筆です。

このように、この絵は、何度も勝手な加筆や修正が行われており、絵の状態があまりよくありません。