こんにちは!
今回は、ブリューゲルの画家になった子孫たちの絵を紹介します。
ブリューゲルが亡くなってからも150年ほど、子孫たちは美術史に名を残し続けました。すごすぎる。
早速見ていきましょう!
目次
- 長男:ピーテル・ブリューゲル2世(1564/65-1637/38年)
- 次男:ヤン・ブリューゲル(1568-1625年)
- 孫:ピーテル・ブリューゲル3世(1589-1638年)
- 孫:ヤン・ブリューゲル2世(1601-1678年)
- 孫:アムブロシウス・ブリューゲル(1617-1675年)
- 義理の孫:ダヴィット・テニールス2世(1610-1690年)
- ひ孫:ダヴィット・テニールス3世(1630-1685年)
- ひ孫:アブラハム・ブリューゲル(1631-1697年)
- ひ孫:ヤン・ヴァン・ケッセル(1626-1679年)
- ひ孫:ヤン・ピーテル・ブリューゲル(1628-1682年)
- ひ孫:ヤン・バプティスト・ブリューゲル(1647-1719年)
- 玄孫:フェルディナント・ヴァン・ケッセル(1648-1696年)
- 玄孫:ヤン・ヴァン・ケッセル2世(1654-1708年)
長男:ピーテル・ブリューゲル2世(1564/65-1637/38年)
ピーテル・ブリューゲル2世《鳥罠のある冬景色》1620年
ピーテル・ブリューゲル2世は、ピーテル・ブリューゲルの長男です。
そう、同じ名前なんです!だからややこしい…
彼は「地獄のブリューゲル」と呼ばれています。
父ブリューゲルが亡くなった時、彼はまだ5歳前後でした。
そのため、画家として評価されていた祖母のマイケンが絵を教えたといわれています。
彼は、父親の絵のコピーを量産しました。それがまたややこしい…
約9人の助手がいた彼の工房では、父のコピーや、ブリューゲル風の絵を量産していました。
工房作の総数は約1,000点以上あり、そのうち7割は父の作品のコピーでした。
コピーとは言っても、本物と区別がつかないくらい似た作品、というよりかは、父ブリューゲル風で似た作品であれば、パトロンたちは満足したそう。
上の絵は、特に需要の多かった父ブリューゲル作品のコピーです。
ピーテル・ブリューゲル2世《ベツレヘムの嬰児虐殺》1610年頃
長年、父ブリューゲル作と考えられていましたが、ピーテル2世によるコピーと判明した作品です。
ピーテル・ブリューゲル世《村の縁日からの帰り》1610年頃
この作品は、彼のオリジナル作品です。
子供が縁日で買ってもらったおもちゃなど、当時の風俗が反映されています。
次男:ヤン・ブリューゲル(1568-1625年)
ヤン・ブリューゲル《花》1606-1607年
ヤン・ブリューゲルは次男で、「花のブリューゲル」と呼ばれています。
父ブリューゲルが亡くなった時、彼はまだ1歳前後でした。
彼も祖母のマイケンから水彩画を学びました。
ピーテル・パウル・ルーベンス、ヤン・ブリューゲル《嗅覚のアレゴリー》1617-1618年
彼は、しばしばルーベンスと共同で制作することがありました。
ピーテル・パウル・ルーベンス、ヤン・ブリューゲル《花輪の中の聖母子》1617-1620年
花はヤン、人物はルーベンス作です。
ヤンは、オーストラリア大公アルブレヒト夫妻に気に入られ、宮廷画家並の待遇を受けていました。
珍しい花を観察して、それを絵にすることもできました。
なので彼の花の絵は、とても高価で、兄ピーテルの絵の数倍の値段がつきました。
孫:ピーテル・ブリューゲル3世(1589-1638年)
ピーテル・ブリューゲル3世《カーニバルとレントの戦い》
ピーテル・ブリューゲル3世は、ピーテル2世の子供です。
作品数は少ないですが、父の工房で作品をコピーしていました。
名前も一緒で、絵も似てるって本当にややこしいなぁ…
孫:ヤン・ブリューゲル2世(1601-1678年)
ヤン・ブリューゲル2世《楽園》1620年頃
ヤン・ブリューゲル2世は、ヤンの長男です。
ヤンの妻、つまりヤン2世の母親も、版画家ヘラルト・デ・ヨーデの娘で、彼は両親の家系から絵の才能を受け継いでいます。
孫:アムブロシウス・ブリューゲル(1617-1675年)
アムブロシウス・ブリューゲル《聖母子》17世紀中頃
アムブロシウス・ブリューゲルは、父ヤンと後妻の6人目の子供です。
兄ヤン2世から絵を学んだのでは?と考えられています。
義理の孫:ダヴィット・テニールス2世(1610-1690年)
ダヴィット・テニールス2世《レオポルト・ ウィルヘルム大公の画廊》1651年
ダヴィット・テニールス2世は、父ヤンの娘アンナの夫です。
父のダヴィット・テニールスも画家でした。
オーストリア大公レオポルト・ヴィルヘルムの宮廷画家でした。
ひ孫:ダヴィット・テニールス3世(1630-1685年)
《子供の頃のスペイン王チャールズ2世の肖像》1666年
ダヴィット・テニールス3世は、ダヴィット・テニールス2世の息子です。
ひ孫:アブラハム・ブリューゲル(1631-1697年)
アブラハム・ブリューゲル《風景の中の静物》1616年
アブラハム・ブリューゲルは、ヤン2世の息子です。
ブリューゲル一族最後の最も優れた画家でした。
ひ孫:ヤン・ヴァン・ケッセル(1626-1679年)
ヤン・ヴァン・ケッセル《動物での署名》1657年
ヤン・ヴァン・ケッセルの母はブリューゲルの孫娘(ヤン2世と兄妹)のパスハシア、父は画家ヒエロニムス・ヴァン・ケッセルです。
ヤン2世からも絵を学びました。
上の絵も相当ユニークですよね。
画家の名前ヤン・ヴァン・ケッセルを蛇や幼虫で描いています。
《花飾り、マスク、シェルロゼット》17世紀
貝殻で作られた仮面が描かれています。
ひ孫:ヤン・ピーテル・ブリューゲル(1628-1682年)
《花のあるカルトゥーシュ》1650-1677年
ヤン・ピーテル・ブリューゲルは、ヤン2世の息子です。
彼は、祖父ヤン・ブリューゲルと間違えるような署名を作品にしているものもあり、混同することも。
下のバプティストだけでなく、その他の弟フィリップス、フェルディナントも画家でしたが、詳しくはわかっていません。
ひ孫:ヤン・バプティスト・ブリューゲル(1647-1719年)
ヤン・バプティスト・ブリューゲル《田舎道を旅する人との森の風景》
ヤン・バプティスト・ブリューゲルは、ヤン・ピーテルの弟です。
彼の作品はほとんど残っていません。
玄孫:フェルディナント・ヴァン・ケッセル(1648-1696年)
フェルディナント・ヴァン・ケッセル《台所で祝う類人猿》
フェルディナント・ヴァン・ケッセルは、ヴァン・ケッセルの息子です。
玄孫:ヤン・ヴァン・ケッセル2世(1654-1708年)
ヤン・ヴァン・ケッセル2世《庭の家族の肖像》1679年
ヤン・ヴァン・ケッセル2世は、ヴァン・ケッセルの息子です。
マドリードでスペイン王カルロス2世の宮廷画家になりました。
その他にも、アブラハムの息子、フランス・ヒエロニムスとハスパレが画家になっています。