こんにちは!
今回は、ポッライオーロの《アポロンとダフネ》についてです。
早速見ていきましょう!
アポロンとダフネ
ピエロ・デル・ポッライオーロ《アポロンとダフネ》1470-1480年頃
報われない恋
オウィディウスの『変身物語』に登場するダフネとアポロンの物語が描かれています。
ある日アポロンが、エロスの弓をからかいました。
怒ったエロスはアポロンの胸に「恋に陥る黄金の矢」を、ダフネの胸に「恋心を消し去る鉛の矢」を射ち込みました。
こうして、アポロンが追いかければ追いかけるほど、ダフネは彼を嫌って逃げていきました。
追い詰められたダフネは、アポロンの求愛から逃れるために父である河神ペネイオス(大地の女神ガイア説も)に自分の姿を別の何かに変えるよう願い、月桂樹に変身しました。
教訓として
ポッライオーロは、その変身場面を描いています。
このシーンを描くことで、女性に対して「誘惑に負けないように」という教訓を示しています。
木に変身するダフネ
変身しているダフネの姿は逃走するポーズのまま氷ついたように停止し、左脚は木となって地面に根付き、両腕は木の枝となって葉が生い茂っています。
必死なアポロン
ダフネの逃走はようやく止まり、追いついたアポロンは彼女の腰に腕を回して、ダフネの顔を見上げ、彼女の最後の一瞥を視界に捉えています。
アポロンは金糸で織られ宝石がちりばめられた狩猟服をまとう貴族の若者として描かれており、腰のあたりに矢筒を吊り下げています。
実際の風景に神話の人物たちを
画家はフィレンツェの田園地帯に神話の情景を描いています。
背景を流れる川はテッサリア地方のペネイオス川ではなく、フィレンツェを流れるアルノ川であり、遠くに見える都市はフィレンツェです。
川のほとりでは宮廷貴族の娯楽である狩猟が繰り広げられています。
後にわかったこと
支持体として木材が選択されたこと、および小さなサイズであることにより、作品は装飾的なカッソーネ(嫁入り道具のひとつ、チェスト)の断片であると長い間誤解されていましたが、現在では独立した1枚の作品だったと考えられています。
この作品は長い間、兄のアントニオ・デル・ポッライオーロに帰属されていたが、現在はピエロに帰属されています。
背景の植物は以前はもっと明るい色調でしたが、現在は不可逆的に酸化してしまっています。