東京オペラシティ アートギャラリーで開催中の「アルフレド・ジャー あなたと私、そして世界のすべての人たち」展に行ってきました。
目次
アルフレド・ジャー あなたと私、そして世界のすべての人たち

この展覧会は、「遠い国の出来事」を他人事にしないための展覧会です。
戦争や不平等など、世界の問題を題材にしながら、見る人に「あなたはどう感じ、どう考える?」と静かに問いかけてくるような展示でした。
とってもよかったです!超おすすめの展覧会です。
チケットの価格と入手方法
一般 1,600円、大・高生 1,000円/中学生以下無料
詳しくはこちら
ロッカー
美術館のロビー入り口の左側にあります。
音声ガイド
ありません。
その代わり受付でもらえる作品リストに全作品の説明が載っています。
写真撮影
動画作品以外全て写真撮影OKです。
混雑
土曜日の朝イチの回で行きましたが、とっても空いていました。
時間と共に少しだけ増えたり、また減ったりという感じで、12時30分くらいまでいましたが空いていました。
アルフレド・ジャーってどんなアーティスト?

アルフレド・ジャーはチリ生まれで、建築と映像を学び、1982年に渡米して以降はニューヨークを拠点に活動している作家です。
写真・映像・立体・空間全体を使ったインスタレーションなど、表現方法が幅広いのが特徴です。
彼の作品は、誰かを悪者にして責めるためのものではありません。
むしろ、世界で起きていることを見直して、「自分はどう関わっているのか」「何を見落としているのか」を考えるための、心に残る例え話や装置を作品として作っています。
善悪が単純に決められないこと、遠くの惨事でも私たちが関わっている可能性があることを示し、「よく見て、考える」ことを促すような作品を制作しています。
アルフレド・ジャー展 構成

この展覧会は、作家が自分の半生をふり返りながら構成した回顧展で、1970年代の初期作から代表作、広島の展覧会で依嘱された大型作品、そして今回のための新作まで展示してあります。
また、展覧会全体は「ラテンアメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、アジア(日本)」という4つの大陸をめぐるように組まれ、日本をテーマにした新作も含まれています。

《今は火だ》(1988)写真左
地球儀を消火器の上に置いた作品です。「世界が燃えているなら火を消すしかない」という、少し滑稽なくらい単純な発想でできています。
でもその単純さが、気候変動だけでなく政治や社会の対立など、いま世界がさまざまな意味で“燃えている”のに、私たちの対処が追いつかない無力さを浮かび上がらせます。

題名はジェイムズ・ボールドウィン『The Fire Next Time(邦訳:次は火だ など)』に由来するとされ、守る/抑えつける、温もり/怒りのような相反するものが同居する緊張も感じられます。

《彼らにも考えがある》(2012)
黒いライトボックスに白い文字が浮かぶ作品です。
これはジョン・ケージ生誕100周年に合わせて制作され、15歳のケージが講演のために書いた文章へのオマージュだとされています。
作品のポイントは、「誰もが考えを持って生きている」という当たり前が、政治や権力の場でいとも簡単に無視されている、という現実に気づかせるところです。

《アメリカのためのロゴ》(1987)
ニューヨークのタイムズ・スクエアの電光掲示で流れた内容を写真に撮ったものです。
合衆国の地図や星条旗が現れたあとに「これはアメリカではない」「これはアメリカの旗ではない」という否定の言葉が重なり、最後に南北アメリカ大陸の地図の上に「AMERICA」の文字が出ます。
ここで言いたいのは、「America」という言葉が合衆国だけを指すみたいに使われると、他の国々の存在が見えにくくなる、ということです。








「ゴールド・イン・ザ・モーニング」シリーズ(1985/2007)
1980年代半ばに、ブラジルの金鉱で働く人たちを撮影した写真をもとにした作品です。

展示のしかたが特徴的で、写真のライトボックスを壁側へ向け、壁に埋め込まれた細長い鏡に映った像を、観客が近づいてのぞき込んで見ます。
正面からは見えないので、見る人は体を動かして、自分で「見える位置」を探さなければいけません。
この作りは、世界の出来事にも似ています。
ニュースや情報は目の前に勝手に全部は出てこなくて、自分から近づいて、見ようとして初めて見えてくることがあることと重なりました。




《エウロパ》(1994)
ボスニア紛争を題材にした作品です。基本は「鏡に映った像を見る」方式で、《ゴールド・イン・ザ・モーニング》と似たつくりです。
さらに手前側にもライトボックスが置かれ、色で戦火の炎を思わせるような空気をつくります。

遠い戦争を「ニュース」として受け流すのではなく、見ようとする自分の動きまで含めて、向き合い方を考えさせる作品です。

ものすごい光量に「まぶしいっ」となりつつ進んでいくと、

これがボックスだということに気づきます。
これが何かというと…

《サウンド・オブ・サイレンス》(2006)
大きな箱(シアター空間)の中で、文字と1枚の写真を軸に、報道写真家ケヴィン・カーターと、彼の写真「ハゲワシと少女」をめぐる出来事をたどるインスタレーションです。
ネタバレになるので詳しいことは書きませんが、びっくりする仕掛けがあるため、小さな子は入ることができません。
わたしもびっくりして、その後も再度びっくりな仕掛けがあるのではとそわそわしながら最後まで鑑賞しました。

ここで問われるのは「写真家は悪いのか」だけではありません。

見る側=私たちが、衝撃的なイメージをどう消費し、どんな圧力を生んだのか。
暗い空間でその一連の流れに向き合う体験が、「見ること」の重さを観客の側へ返してきます。

《明日は明日の陽が昇る》(2025)
この展覧会のための新作です。
星条旗と日の丸が描かれたライトボックスが上下に向かい合う形で置かれ、日米の関係を考えさせる構成になっています。
「旗」という強い記号を、光る箱の距離と向きでぶつけることで、国と国の関係を「空間の緊張」として感じさせます。
展示の最後にある《ヒロシマ、ヒロシマ》2023年は、ドローン映像+会場の仕掛けで体験させるインスタレーション作品です。
暗い空間で、大きなスクリーンに広島の街を上空から撮った映像が映ります。カメラは原爆ドームの真上で止まり、そこから地上へ向かって降りていきます。
映像だけだと思っていたので最後の仕掛けにびっくり。この仕掛けにとって、「見る」という行為そのものが急に重くなるという体験をすることができます。

会場の入り口に置いてあるこの作品、一人1枚持って帰ることができます。
75cmのポスターでとても大きいし、紙も厚くてしっかりしています。輪ゴムがあるのでこれで丸めてとめることができます。
収蔵品展 寺田コレクション ハイライト 後期











project N 101 岩崎奏波



ミュージアムショップ

アートギャラリーの横に「Gallery 5」というショップがあり、展覧会用に作った作品集が売っていました。
カフェ&レストラン
ミュージアム内にカフェなどはありませんが、オペラシティ内に飲食店がたくさんあります。
アルフレド・ジャー展 概要
会期:2026年1月21日〜3月29日
会場:東京オペラシティ アートギャラリー ギャラリー1、2
住所:東京都新宿区西新宿3-20-2
電話番号:050-5541-8600
開館時間:11:00〜19:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし、2月23日は開館)、2月8日、2月24日




