こんにちは!
今回は、みんな大好きサイゼリヤに飾られている絵の中の1枚、フラ・アンジェリコの受胎告知についてです!
フラ・アンジェリコは受胎告知の絵を多数描いているので、そちらも合わせて紹介します!
早速見ていきましょう!
目次
プラド美術館
プラド美術館《受胎告知》1426年頃
「受胎告知」とは、聖母マリアが聖霊(絵では鳩)によってキリストを妊娠したことを、天使ガブリエルが告げにきている出来事のことです。
なにそれって感じですが、宗教画というジャンルの中ではとっても人気のシーンで、非常に多くの絵に描かれています。
この絵では、左側に禁断の知恵の実を食べて追放されているアダムとイヴが描かれています。
なぜ描かれているのかというと、アダムとイヴは「原罪」、聖母マリアは「無原罪」を表しており、対比させるためです。
聖母マリア
手を交差させた聖母マリアのポーズは、神の意思に対する彼女の服従を象徴しています。
フラ・アンジェリコが修道士として属するドメニコ会の守護者として、マリアは中心的な役割を果たしています。
大天使ガブリエル
大天使ガブリエルの頭部の周りに輝く後光は、金箔で描かれ、磨き上げられ、細工が施され、神の使者としての神々しさを強調しています。
ガブリエルのうやうやしいポーズは、マリアの大人しく素直な身振りと同様に優雅で、それぞれがアーチに囲い込まれた2つの人物像は、とてもバランスがとれています。
フラ・アンジェリコは、2人の遭遇の緊迫感を描きながらも、静けさを漂わせることで、画面に瞑想的な雰囲気を与えています。
聖霊の鳩
絵画を斜めに切り離すように、全能の神の存在を表す神の光が差しています。
左上にあるまぶしい光源から放たれた金色の光線は、ガブリエルの後光に触れ、2つの異なる物語のエピソードを結び付けながら、マリアの前で柔らかく拡散しています。
聖霊を象徴する白い鳩が降下しており、受胎の瞬間を示しています。
父なる神
柱廊の中央の円柱上に、髭を生やした男性の頭が彫刻されていますが、これは、賢明で全てを見通す父なる神を表しています。
ツバメ
ツバメは、キリストの蘇生を象徴しています。
まるでキリストが死んだ後に復活するように、ツバメも姿を消した後、毎年春になると戻ってきます。
絵画の中にツバメを描くことで、父なる神、子なる神、聖霊なる神の三位格が揃うことになります。
アダムとイヴ
柱廊を囲む柱の外側に、神の恩寵を失い、エデンの園から追放されているアダムとイヴの落胆した姿が見えます。
裸足の足元には禁断の実が転がり、2人は絵のフレームの外に出て行こうとしています。
フラ・アンジェリコは、彼らの罪深さをマリアの純潔と対比させ、人類の原罪を回復するためにキリストが生まれたことを思い起こさせています。
装飾的な草花
柱廊の向こうに位置するエデンの園は画面の4分の1を占め、中世のタペストリーに似た植物の模様で豊かに彩られています。
前景中の草花が図案化されている処理は、フラ・アンジェリコの作品における、初期のゴシック様式の影響を明らかにしています。
本物の空間に見せるために
古典的柱廊の構造が本物の3次元の空間であることを鑑賞者に納得させるために、線遠近法を用いて描いています。
コリント式円柱は奥のものほど小さく描かれ、背景へと当座かるように見えます。
星が散りばめられた天井のアーチも同様です。
戸口の向こうには小さな部屋があり、その奥の壁には小さな窓があります。
しかし、単一の消失点はなく、遠近法はまだ完成されているわけではありません、
プレデッラ
プレデッラとは祭壇画の最下部にある飾りのことです。
聖母マリアの誕生と結婚
絵画の中では、一つの絵の中で時間の経過を表すために、何度も同じ人が描かれることがあります。
この絵では、左で生まれたマリアを、右でマリアとヨセフが結婚している場面が描かれています。
エリザベト訪問
エリザベトはマリアのいとこであり、洗礼者ヨハネ(キリストに洗礼を授けたすごい人)のお母さんです。
キリストの降誕
キリストが生まれた場面です。
神殿奉献
神殿に行って、そこで会った預言者から、キリストの将来についての予言を聞いた場面が描かれています。
マリアの死
マリアは人間ですが、神の母でもあるので、特例で魂だけでなく肉体も天国へあげられました。
サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会
サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会《受胎告知》1430-1432年
プラド美術館版より、明るく華やかになっています。
コルトーナ
《受胎告知》1433-1434年
天使ガブリエルとマリアがしゃべっています。
上下2行はガブリエルで「精霊があなたの上にやって来て、最も高き者の力があなたの上から覆ってくるだろう」
真ん中がマリアの返答が「わたしは主のはしためです。おことばどおりこの身になりますように」です。
マリアの言葉は、神に読めるように文字が上下逆に書かれています。
プレデッラ
聖母マリアまたは聖ドミニコの誕生
聖ドミニコとは、フラ・アンジェリコが入信していたドミニコ会の大元です。
聖母マリアの結婚
エリザベト訪問
この絵、実は、イタリアの絵画で初めて、本当にある風景が描かれた作品でもあります。
背景にイタリアのトラジメーノ湖が描かれているんです!
コルトーナから見えます。
東方三博士の礼拝
キリストが生まれたとき、3人の賢者が贈り物を持って拝みに来たという場面です。
神殿奉献
聖母マリアの死
聖ドミニコのビジョン
サン・マルコ修道院
サン・マルコ修道院は、フラ・アンジェリコの美術館でもあります。
サイゼの絵
《受胎告知》1440年頃
この絵になんとな〜く見覚えがある人もいるはず。
サイゼに飾られている絵の1枚です!
絵の下に書いてある文字の意味は「汚れなき聖母マリアのお姿を前にしたら、必ずアヴェ・マリアの祈りをとなえよ」です。
なので、当時この絵の前に来たら、僧侶たちはマリアにあいさつしました。
ガブリエルのカラフルな羽根は、鳥の羽を参考にして描いたそう。
《受胎告知》1440-1442年
サンマルコ修道院の僧坊(寺院内にある僧侶の生活する部屋)には、各部屋に1枚、フラ・アンジェリコの絵があり、その中の一枚です。
こちらのシュールすぎる《キリストの嘲笑》もこの中の一枚です。
左にいるのは聖ペトロ(キリストから天国の鍵をもらったすごい人)です。