こんにちは！
今回は、ポーラ美術館で開催中の「ロニ・ホーン：水の中にあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる?」展に行ってきました。
ロニ・ホーン：水の中にあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる?
ポーラ美術館のチケットなど基本情報はこちら↓
アメリカの現代美術を代表するアーティストであるロニ・ホーンの日本初の個展です。
「ガラス彫刻」シリーズ
水がいっぱいに入った器のように見えますが、実は数百キロものガラスの塊です。
ガラスは物理学的には「固体」でも「液体」でもありません。
その曖昧さこそ、ホーンの表したかったものなのでしょう。
室内と野外の森に９つのガラス彫刻が展示されています。
野外展示は遊歩道の途中にあります。
全部歩くと４０分以上かかりますが、この作品自体は美術館の近くにあるのでささっと見に行くことができます。
どこにあるのかは、遊歩道を歩いていると案内が出てくるので迷うことはありません。
野外展示の《鳥葬》は、実際に水が張ってあります。
エミリのブーケ
《エミリのブーケ》（部分）2006-2007年
アメリカを代表する詩人ディキンスンが書いた手紙の言葉を引用して制作したシリーズです。
引用された言葉は側面から見ると言語の体をなさず、文字は純粋な「形」として解体されています。
円周率
北アイルランドで７年にわたり撮影された４５点の写真のシリーズです。
野生の鴨の巣跡から手作業で羽毛を集めることを生業とするビョルソン夫妻の営みが、展示室に円環を描くように展示されています。
静かな水（テムズ川、例として）
ロンドンの中心部を流れるテムズ川の水面を写した１５点の写真です。
遠くから見るとただの水面の写真に見えますが…
よく見ると画面には点のように細かな数字が配置されています。
下には、その数字の説明文が載っています。
２９は「先週、その川で中年の男性が発見された。3000ポンドの札束が彼の葬儀の指示書とともに彼の腹部にテープで留められていた」と書いてあります…。
これらの説明文を読んだ後に写真を見ると、最初に見たときとは感じ方が違って見えてくるのが面白かったです。
英語が読めないよ〜！という方も大丈夫です。
とてもわかりにくい場所にあるのですが、この展示室出口の左側（だったはず）にあるQRコードを読み取ると、日本語訳を見ることができます。
大型ドローイング作品
抽象的な線や形、あるいは引用された言葉などモティーフは様々ですが、それは手の運動であるとともに、彼女の思考や記憶と強く結びついています。
高さ約３メートルもある巨大なドローイング作品が７点展示されています。
よく見ると、手書きの記号や印、紙の切れ目によって、一度バラバラに切断した後、再び組み合わせていることがわかります。
コラージュ
水彩で描かれた慣用句や文学作品からの引用文が細かく裁断され、別の語句と組み合わさり、あざやかな色彩をともなう視覚的要素へと変化しています。
あなたは天気 パート2
真っ直ぐな視線を投げかける100枚ものポートレートが、展示室の四方を取り囲むこの大作は、アイスランドの温泉で、6週間にわたって女性の表情を記録し続けたものです。
《あなたは天気 パート2》（部分）2010-2011年
「曇った顔」「気が晴れる」「霞を食う」「称賛の雨」など、私たちは人間のあり方や経験を気象に見立てています。
時に激しく時に穏やかに、天気のように移り変わる、一人の女性が見せる唯一無二の100の表情を追いながら、同じように見えるものの中にこそ、絶え間ない変化が潜むことを私たちに気づかせてくれます。
