こんにちは!
今回は、ルノワールの《すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢》についてです。
早速見ていきましょう!
すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢
ピエール=オーギュスト・ルノワール《すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢》1876年
シャルパンティエ家の肖像画として最初に依頼された作品で、4歳のジョルジェットが描かれています。
「彼女のかわいらしいえくぼに、私は祝福を与えられたような気持ちになり、新聞の非難も忘れました」と、ルノワールは後に書き残しています。
ルノワール流「可愛い」の演出
大きな椅子と大人びた座り方
子供らしさを強調するため、あえて大人用の椅子に座らせています。
小さなかわいい女の子が大人びた様子で足を組むというアンバランスが、この絵を引き立てています。
上目遣い
近代までの肖像画に描かれている人物の目線は、画家に対してまっすぐ水平に注がれていました。
しかしルノワールは、ジョルジェットの目線は上を向いていおり、画家を見上げるような子供らしい目つきをしています。
これはとても画期的なことでした。
というのも、そもそも肖像画というのは、王侯貴族を描いたものが多かったこともあり、たとえモデルが子供であっても、庶民である画家が、王侯貴族を上から見下ろすように描くのはありえないことでした。
なぜルノワールは肖像画のルールを破ってこのように描いたのかというと、注文主のシャルパンティエ家は、当時増えつつあった裕福な庶民(ブルジョワ)だったからです。
王侯貴族ではなくても、肖像画を描いてもらうことが可能になったということも、この絵からわかります。
「目線」に関するタブーが薄れつつあったのでしょう。
そしてルノワールは、ルールよりも可愛らしく描くことを優先しました。
計算された色遣い
輝くようなブロンドの髪と白い肌を引き立てるために、青い服と靴下を着せています。
また、影の表現に青い線が使われています。
裕福な家だとわかる
床には絨毯が敷かれ、家具の上には花瓶が飾られており、19世紀のパリの裕福な家庭の様子が伝わってきます。