こんにちは!
今回は、ルノワールの《ピアノを弾く少女たち》についてです。
早速見ていきましょう!
ピアノを弾く少女たち
オルセー美術館
ピエール=オーギュスト・ルノワール《ピアノを弾く少女たち(ピアノに寄る少女たち)》1892年
1890年初め、ルノワールの友人や支持者たちは、フランス国家が、50歳になるルノワールからまだ1枚も作品を買い上げていないことに憤慨していました。
そこで、革新的な芸術に理解のある美術批評家で若手行政官だったロジェ・マルクスの助けを借りて、ルノワールの友人で詩人のマラルメの働きかけによって、当時の現代美術館だったリュクサンブール美術館がルノワールに作品を依頼しました。
ルノワールは1891年末から、《ピアノを弾く少女たち》をほぼ同じサイズで5枚(または6枚)描きました。
その中からフランス国家が4000フラン(約400万円)で買い取り、リュクサンブール美術館に収蔵されたのが上の絵です。
マラルメは「成熟期のもっとも自由で、いかにもじっくりと落ちつきのある作品」と本作を評しています。
オランジュリー美術館
ピエール=オーギュスト・ルノワール《ピアノを弾く少女たち(ピアノに寄る少女たち)》1892年頃
オランジュリー美術館所蔵の本作は、ルノワールが晩年まで大切にアトリエで保管していたものでした。
メトロポリタン美術館
ピエール=オーギュスト・ルノワール《ピアノを弾く少女たち(ピアノに寄る少女たち)》1892年
2人の少女のモデルは判明していませんが、室内の装飾や、ピアノを弾いている少女ということで、ブルジョワ階級のお嬢様が描かれていることはわかります。
1890年にルノワールが結婚した際に、妻への結婚の贈り物としてピアノをプレゼントしており、この絵はルノワールの家で描かれたのでは?とも考えられています。
プライベートコレクション
ピエール=オーギュスト・ルノワール《ピアノを弾く少女たち(ピアノに寄る少女たち)》1892年
演奏している少女はどのバージョンもあまり変わりがありませんが、傍にいる少女は、服や、表情や、手の動きなどが違います。
続けて見ると絵の中で動いているように見えます。
エルミタージュ美術館
ピエール=オーギュスト・ルノワール《ピアノを弾く少女たち(ピアノに寄る少女たち)》1892年
その他のピアノを弾く少女たち
ピエール=オーギュスト・ルノワール《ピアノを弾く女性》1875-1876年 シカゴ美術館
ピエール=オーギュスト・ルノワール《ピアノの前のカテュール・マンデスの娘たち》1888年 メトロポリタン美術館
題名の通り、フランスの詩人・小説家のカテュール・マンデスの娘たちが描かれているのですが、全員愛人オルメスとの子です…。
ちなみにルノワールもマンデスもオルメスも熱烈なワーグナーファンの「ワグネリアン」でした。
ピエール=オーギュスト・ルノワール《ピアノを弾く少女たち(ピアノに寄る少女たち)》1889年 ジョスリン美術館
ピエール=オーギュスト・ルノワール《読書》1889年
ピアノとは関係ありませんが、こちらと、
ピエール=オーギュスト・ルノワール《2人の姉妹》1889年
こちらの絵のモデルも、上の絵と同じで、同じ衣装を着ています。
ピエール=オーギュスト・ルノワール《ピアノに向かうイボンヌとクリスティン・レロル》1897年頃 オランジュリー美術館
ルノワールの友人の画家アンリ・ルロルの娘、イヴォンヌとクリスティーヌが描かれています。