こんにちは!
今回は、ギリシャ神話に登場する婚姻の神ヘラを解説します。
早速見ていきましょう!
ヘラ(ユノ、ジュノー)
ジェームズ・バリー《イデ山のゼウスとヘラ》1790-1799年
ギリシャ名:ヘラ、ローマ名:ユノ、英語名:ジュノー
アトリビュート:孔雀、ベール
浮気性のゼウスの妻であり、姉でもあるヘラは、嫉妬に悩まされ続け、気難しく執念深い性格に…。
ヘラは貞節だったので、婚姻の女神、女性の守護神として、人々から崇められ、特に結婚や妊娠を望む女性たちから深く敬われました。
ヘラはローマ人からユノと呼ばれ、6月(ジューン)の語源にもなっています。
上の絵のイデ山というのは、パリスの審判が行われた場所です。
どうして浮気性のゼウスの妻に?
そもそもヘラは、ゼウスの求婚を何度も断っていました。
しかしある日、散歩中に濡れそぼったカッコウを見つけて不憫に思い、胸に抱いてあたためてあげたところ、実はその鳥は変身した弟ゼウスでした。
元の姿に戻ったゼウスは、姉を説き伏せ、ヘラはしぶしぶゼウスの妻になることに…。
浮気に悩み怒る妻
ギュスターヴ・モロー《ユノに不平をいう孔雀》1881年
夫ゼウスとの初夜は300年も続き、仲睦まじかったのですが、だんだん雲行きが怪しくなります。
ゼウスは浮気の常習犯で、ヘラは絶えず見張っていなければならず、最悪の生活を強いられました。
ある日、百の目(あるいは千の目)を持ち全てを見渡す巨人アルゴス・パノプテスに頼んで、ゼウスの愛人で牝牛に姿を変えられていたイオを監視させました。
するとゼウスは、ヘルメスに命じてアルゴスを殺させます。
心痛めたヘラは、アルゴスをお気に入りの動物だった孔雀に変えました。
孔雀の羽に目がたくさんついているのは、そのためです。
上の絵は、ラ・フォンテーヌの寓話集の話をモローが絵にしたもので、孔雀が美しい声にしてくれとせがむので、ヘラが、「そんなに美しい姿にしてやったのに!」と怒っている場面が描かれています。
木製の探査機の名前にも
ジュピター(木星)の探査機の名前はジュノー(ヘラ)です。
これ以上ぴったりの名前はありません。笑
エコー
あるニンフが、ゼウスの浮気を援護しようと、おしゃべりでヘラの注意をそらせました。
ヘラの怖さをわかっていなかったのでしょう。
腹を立てたヘラは、ニンフが人より先に発言できないよう、話し相手の最後の言葉しか言えないようにしました。
そのニンフの名はエコーです。
今となっては姿は見えませんが、その声は響き続けています。
特別なベール
ヘラに言い寄ってくる男性も少なからずいましたが、ゼウスとは違って貞節を守り続けました。
まとうベールはヘラの象徴で、ギリシャ神話の婚礼のシンボルでもあります。
夫ゼウスの浮気癖に絶望したある日、制止を振り切って飛び出しました。
そこでゼウスはベールをまとった木像を身近に置き、恋人だと噂を広めました。
すると、怒りに燃えるヘラは、ライバルを押しのけようと戻ってきましたが、夫のいたずらだと気づくと、笑いがこみあげてきて、仲直りしたそう。
天の川の起源は…
ティントレット《天の川の起源》1575年頃
ヘラは夫ゼウスの愛人だけでなく、その子供たちにも怒りを向けました。
その1人、生まれたばかりのヘラクレス(母は人間のアルクメネ)のゆりかごに2匹の蛇を送ったこともありました。(赤子ヘラクレスは蛇を絞め殺してめでたし)
ゼウスの息子たちは、ヘラの乳を飲まない限り、神にはなれませんでした。
そこでゼウスは、ヘラが寝ている間にヘラクレスを横に置きました。
乳を吸われて目を覚ましたヘラが、乱暴にヘラクレスを押し返したため、父は空にまで舞いあがり、天の川(銀河、ミルキーウェイの由来)になりました。
これは、ギリシャ神話に紀元前1世紀ごろ付け加えられた物語でした。