こんにちは!
今回は、ヴェロッキオとレオナルドの共作《キリストの洗礼》を解説します。
早速見ていきましょう!
キリストの洗礼
アンドレア・デル・ヴェロッキオ、レオナルド・ダ・ヴィンチ《キリストの洗礼》1470-1475年
ヴェロッキオ35歳のときに制作した作品で、聖書の中でも有名なエピソード、イエスの受洗が描かれています。
どんな話?
荒れ野の預言者ヨハネが、ヨルダン川の水で人々に悔い改めの洗礼と説教を行っていました。
そこにイエスも現れ、ヨハネから洗礼を受けました。
イエスが水から上がると、突如、天から神の霊が鳩のように下ってくるとともに、「汝は我が愛する子。我が心に適う子」と声がした、という場面が描かれています。
洗礼者ヨハネ
十字架付きの長い棒を持っているのが洗礼者ヨハネです。このとき31歳だったそう。
ヨハネは、荒れ野でイチゴとイナゴと野蜜しか食べず、ラクダの毛皮を着て、野蛮人のように暮らしていたため、ここでもラクダの毛皮を身にまとっています。
細長いリボンのようなものには「神の仔羊を見よ」と書いてありますが、これは漫画の吹き出しみたいなものです。
右手には椀を持ち、イエスの頭に聖水を垂らしています。
イエス
イエスはこのとき30歳くらいだったそう。
この絵は、師ヴェロッキオと弟子レオナルドの合作とされていますが、イエスやヨハネの部分に、他の弟子(ボッティチェリやクレディ)の手が入っているとする研究者もいます。
誰よりも目立つ天使
洗礼の場面に立ち会う天使が、イエスの脱いだ服を持っています。
主役のイエスやヨハネより神々しく目立ってしまっているこの天使を描いたのが、20歳のレオナルドでした。
レオナルドにとって、これが初めて油彩で完成させた像でした。
レオナルドはこの天使と、背景も描いていると考えられています。
レオナルドの描いた天使があまりにも上手すぎたため、その才能に驚いたヴェロッキオはそれ以来、絵を描くのをやめてしまった、という伝説的逸話がありますが、これは半分本当で半分嘘です。
実際に、これ以降ヴェロッキオが描いた絵は見つかっていませんが、レオナルドの絵に衝撃を受けてというよりも、元から彫刻メインだったヴェロッキオが、彫刻に専念することにしたタイミングと偶然に一致しただけなのではと考えられています。