六本木の国立新美術館で開催中の「YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート」展に行ってきました。
目次
YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート

この展覧会は、1980年代後半〜2000年代初頭の英国アートを、約60名・約100点でたどる企画です。
社会の空気がギスギスしていた時代に、アーティストたちが「英国らしさ」「都市」「音楽やファッション」「身体や病」「家」「日常のもの」を、絵画・彫刻・写真・映像などで表現しています。
チケットの価格と入手方法
一般 2,300円、大学生 1,500円、高校生 900円、中学生以下無料です。
詳しくはこちら
ロッカー
100円返却式のロッカーが至る所にあります。
音声ガイド
細野晴臣さんと齋藤飛鳥さんが音声ガイドを担当しています。
料金は650円です。
写真撮影
基本的には動画作品以外、写真撮影OKです。
混雑
祝日朝イチで行きましたが、空いていて鑑賞しやすかったです。
開館10分前に並んで前に10人いないくらい、5分前で20人くらい並んでいました。
11時20分くらいまで会場内にいましたが、時間とともに少し人が増えたかな?程度、ほどほどの人の数でとても鑑賞しやすかったです。
テート美術館展 構成
序章 フランシス・ベーコンからブリットポップへ
90年代の新世代が登場する前の英国の空気(不安、混迷、文化の変化)を強く映す作品からスタート。

フランシス・ベーコン《1944年のトリプティク(三幅対)の第2ヴァージョン》(1988)
戦争の恐怖を映した1944年の主題に、44年後に再び向き合い、背景色を変更しています。
冷戦の終焉へ向かう時代の空気や、のちの新世代が敏感に感じ取った社会の混迷を象徴するような作品です。
第1章 ブロークン・イングリッシュ:ニュー・ジェネレーションの登場
格差が拡大し、不安が広がった社会の空気のなかで、マスメディアや大衆文化から発想しながら「英国らしさ」を鋭く批評する視点が現れました。

ダミアン・ハースト《後天的な回避不能》(1991)
吸殻や灰皿をオフィス空間に置き、ガラスケースで密閉することで、現代社会において「避けられない死」とは何かを問う作品です。

ギルバート&ジョージ《裸の目》(1994)
1960年代から活動してきた彼らの姿勢が、90年代の危機(とくにエイズ危機)とぶつかる文脈で語られています。

ルベイナ・ヒミド《二人の間で私の心はバランスをとる》(1991)写真右
移民として生きる黒人女性を描き、歴史の中で築かれる関係が、現代の生き方や帰属意識をどう形作るのかを考察しています。


むごいシーンだけを集めているのに…

ミニチュアにあるとなんだかちょっとかわいく見えてしまうのはなんでだろう。
第2章 おおぐま座:都市のイメージをつなぐ

90年代はじめのイギリスでは、再開発が進む一方で工事途中の建物も多く、街の景色が落ち着きませんでした。
さらに、人気が出た地域ほど家賃が上がり、これまで住んでいた人が住み続けられず、別の場所へ移らざるを得ない状況が増えていきます。
そうした「変わり続ける街」は、若いアーティストにとって身近な現実で、作品の出発点になりました。

サイモン・パターソン《おおぐま座》(1992)
この章のタイトルにもなっていて、「都市への新たな視点」を象徴する作品として紹介されています。

この章では、住宅の問題や「住む場所を失うこと」への関心から、高層住宅が取り壊されていく様子を撮った写真作品も紹介されていました。
それは、建物が消えていく記録であると同時に、景気や社会の変化の中で人や暮らしが簡単に消えてしまうことの象徴(メタファー)として、今見ても意味を持つ作品です。

この展覧会で初めて知ったデヴィッド・シュリグリーというアーティストの写真作品が良すぎる↑

鳩小屋の写真に円グラフをコラージュした作品です。
円グラフの小さい方「鳥たちが“本当に自分のものだ”と感じる人生の割合」、大きい方「鳥たちが“公共のもの”だと感じる人生の割合」。
この皮肉なジョークがいいねぇ。

大好きなオピーも3点来ていました。

第3章 あの瞬間を共有する:音楽、サブカルチャー、ファッション

雑誌や広告のビジュアルの雑多さと訴求力、音楽の解放感、服飾文化の多様性が、若い作家の意思や社会的なつながりへの関心と交差し、その関係が90年代英国美術の国際的発信力の源になりました。

ジュリアン・オピー《ゲイリー、ポップスター》(1998–99)
実在の人物写真をもとに、特徴を残しながら線や色を減らして、平面的でシンプルな肖像にしています。
その作り方が、音楽や広告のビジュアルと近い感覚を持っていて、「美術」と「ポップカルチャー」の間を行き来する作品として紹介されています。

ジェレミー・デラー《世界の歴史》(1997–2004)


第4章 現代医学

この章はタイトルどおり、身体や病、社会の規範など、個人の体と現代の仕組みがぶつかる場所を扱う章です。

デレク・ジャーマン《運動失調―エイズは楽しい》(1993)
一見すると鮮やかな色彩の抽象絵画のようだが、よく見るとタイトルと同じ文言が刻まれています。
ユーモアを交えたメッセージに、同性愛嫌悪への抵抗が示されています。




第5章 家という個人的空間
「家」を、ただの建物ではなく、記憶や秘密、空想を抱える場所として捉え直す章です。

コーネリア・パーカー《コールド・ダーク・マター:爆発の分解イメージ》(1991)
作家が英国陸軍に物置小屋の爆破を依頼し、残骸を拾い上げ、照明を落とした密閉空間の天井から吊るし、中央に強い光の電球を置いた作品です。

断片が空間に浮遊して見え、爆発の瞬間を切り取ったようなイメージが生まれています。
さらに、物置小屋は「秘密や空想を可能にする場所」「使わないが残しておきたい物の記憶を蓄積する場」としての意味も持ちます。








第6章 なんでもないものから何かが生まれる:身近にあるもの

派手な素材だけがアートになるのではなく、身の回りの場所や状況そのものが、社会や権力、アイデンティティを映す「装置」になりうる、という方向へ広げる章です。
今回映像作品が結構たくさんありましたが、個人的に最後にあったマーク・ウォリンジャー《王国への入り口》がお気に入りです。
ロンドン・シティ空港の到着ゲートをスローモーションで撮影したものに、合唱曲「ミゼレーレ」を流した作品です。
作家はこの作品で、空港を「国境に接する地帯」であり「現実世界の王国(英国)への入り口」と捉え、その場所が持つ政治的・象徴的意味を浮き彫りにしています。
なんでもない瞬間でも荘厳な音楽を流すだけでそれっぽく見えるのが面白い。







シール・フロイヤー 《モノクロームのレシート(白)》(1999年)
この作品は、スーパーで 「白いもの」(または商品名に「白」が入るもの)だけを買い、その 購入記録=レシート をそのまま作品として展示する、というものです。
今回の展示でも、作家の指示に基づいて六本木のコンビニで同じ行為を行い、そこで発行されたレシートを展示しています。
ミュージアムショップ

図録、ポストカード、B2ポスター、クリアファイル、マグネット、ステッカー、スケッチブック、トートバッグ、Tシャツ、マグカップなどがありました。
展示している作家の関連書籍(洋書)もいくつかありました。
今回はオピーのポストカード1枚だけ購入。1枚220円もするの高いな…。
カフェ・レストラン

1つのレストランと3つのカフェがあります。
3Fレストラン「ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ」では、コース料理を楽しむことができます。
2F「サロン・ド・テ ロンド」、1F「カフェ コキーユ」、B1F「カフェテリア カレ」はカフェなので軽食系です。
テート美術館展 概要
会期:2026年2月11日~5月11日
会場:国立新美術館
住所:東京都港区六本木7-22-2
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00~18:00(会期中の金土は〜20:00)※入場は閉館30分前まで
休館日:火(ただし5月5日は開館)





