マグリットの対になった大作「脅かされた殺人者」「秘密の競技者」を超解説!

こんにちは!

今回は、マグリットの「脅かされた殺人者」「秘密の競技者」を解説します。

早速見ていきましょう!

「脅かされた殺人者」「秘密の競技者」

ルネ・マグリット《かされた殺人者》1927年

ルネ・マグリット《秘密の競技者》1927年

マグリットの絵の中でも大きい

2つは対になった作品で、両方とも約150×195cmと、マグリットの作品の中で最大のものに入る大きさです。

脅かされた殺人者

ルネ・マグリット《かされた殺人者》1927年

殺人現場が描かれています。

血まみれの裸の女性がソファに横たわっています。

殺人者である身なりの良い男は、椅子にコートとバッグを置き、ゆったりとリラックしながら蓄音器で音楽を聴いています。

そんな彼を捕まえるため、山高帽の男たちが棍棒とネットを持って両脇で隠れています。

そんな捕縛者たちのイメージを、マグリットは大好きな映画『ファントマ』から借りています。

そして、3人の男たちがバルコニーから彼を見ています。

この光景は、ポール・ヌジェの1927年の散文作品「描かれた絵」の一編に基づいて描かれたと考えられています。

秘密の競技者

ルネ・マグリット《秘密の競技者》1927年

こちらは夜の光景が描かれています

白昼夢のような世界観です。

ルネ・マグリット《失われた騎手(迷える騎手)》1926年

頭に枝を生やしたビルボケが、囲われた区画の内外に林立し、前景に幕があるという設定は《迷える騎手》からきています。

白いウェアを着た競技者たち(バットを振る男とキャッチャー)がゲームをしています

右の戸棚の中には、革製のマスクとコルセットのようなものを着けて目を閉じた女性がいます。

両足が無いので彼女はマネキンかもしれません。

ルネ・マグリット《冒険の衣服》1926年

空中に浮かぶ黒い海亀は、《冒険の衣服》に初めて登場したモチーフで、 百科事典の挿図から写されたものだそう。

人物たちも雑誌などからの借用かもしれません。

ビルボケやバット、飛行体、爬虫類、戸棚など、あらゆるものがフロイト的な性の象徴に見えます。

これらの風景と前景の幕は、夢と現実の境でしょうか。