こんにちは!
今回は、カバネルの《ヴィーナスの誕生》についてです。
早速見ていきましょう!
ヴィーナスの誕生
アレクサンドル・カバネル《ヴィーナスの誕生》1863年
海の泡から生まれたヴィーナス
ヴィーナスのギリシャ名は「アプロディテ」です。
「アプロ」は「泡」という意味で、彼女は海の泡から生まれた、愛と美の女神です。
芸術とポルノの際どい境界といえるような作品ですが、当時は「神」なら裸で描いてもOKという謎ルールがありました。
小説家のゾラは、この絵について、「乳白色の川に身を浸した女神はさながら官能的なロレット(娼婦の別称)のようだ。それは肉と骨からできているのではなく――そうであれば淫らになってしまう――、一種の白とピンクの練り菓子でできている」と、その「謎ルール」の曖昧さを非難しています。
ヴィーナスは、アカデミーの伝統に従い、陶器のようななめらかな肌と完璧なプロポーションで描かれています。
顔を隠すことによって見る者の想像を刺激します。
キューピッド
キューピッド(クピド)が、ほら貝を吹きながら飛び回り、ヴィーナスの誕生を祝福しています。
キプロス島
はるか遠くの水平線の向こうには、キプロス島が描かれています。
皇帝お買い上げ
1863年のサロンに入選、わかりやすい美とエロスによって評判を得たアカデミーお墨付きの完璧なヌードである本作を、ナポレオン3世が買い上げています。
もう1枚のヴィーナスの誕生
アレクサンドル・カバネル《ヴィーナスの誕生》1875年
ニューヨークの銀行家ジョン・ウルフの依頼で描かれた複製画も残っています。