こんにちは!
前回はロートレックの人生に焦点を当てました。
ロートレックは人物を美化して描かないどころか、実物よりも醜く描いていたため、モデルから苦情を言われることもあったそう。
ポスターに描かれたモデルたちが、実はどんな顔だったのか興味がわいたので調べてみました!
早速見ていきましょう!
ラ・グーリュ
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《ムーラン・ルージュのラ・グリュ》1891年
ラ・グーリュはムーラン・ルージュの女王、フレンチ・カンカンのトップダンサーです。
ダンスしながら客のお酒を飲みまくったことから、「ラ・グーリュ(大食い)」の愛称で呼ばれていました。強い。
このポスターでロートレックは一躍有名になりました。
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《ムーラン・ルージュでのダンス ラ・グリュとヴァランタン》1895年
ラ・グーリュの本名はルイーズ・ウェバーです。
家が貧しく、母親と一緒に洗濯の仕事をしていました。
ダンスが大好きだったこともあり、いろいろ上手くいってムーラン・ルージュのダンサーになります。
そして名声を手に入れた彼女でしたが、ムーラン・ルージュを離れてからは、運に見放されてしまったのか、上手くいかず職を転々とし、貧困の中亡くなっています。
ジャンヌ・アヴリル
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《ジャンヌ・アヴリル》1893年
ジャンヌ・アヴリルもフレンチ・カンカンの大人気ダンサーです。
上品でメランコニックな雰囲気がウリでした。
本名はジャンヌ・ボードンです。
父親は伯爵、母親は娼婦の家に生まれ、虐待から逃げるため家を飛び出し、なんやかんやでダンサーになり、成功します。
彼女も最後は貧困の中亡くなっています…
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《ディヴァン・ジャポネ》1892年
ディヴァン・ジャポネとは「日本の長椅子」という意味で、ショーが見れるカフェの店の名前です。
椅子に座っているのがアヴリル、舞台の上にいる黒い長手袋をしている人物が、後ほど出てくる、イヴェット・ギルベールです。
アリスティード・ブリュアン
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《アンバサドールのアリスティード・ブリュアン》1892年
アリスティード・ブリュアンはキャバレーのシャンソン歌手です。
「ル・ミルリトン」という自分のキャバレーを持っていました。
ブルジョワの家に生まれながらも、両親が事業に失敗し、職を転々とし、歌手になりました。
上のポスターは高級キャバレー、アンバサドゥールでの出演が決まった時にロートレックに依頼して描いてもらった作品です。
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《キャバレーのアリスティード・ブリュアン》1893年
店側がロートレックの描いたポスターが気に入らないと言ったときも、「ロートレックのポスターを貼らないなら出演しない」と言うほど、売れない時代からロートレックの才能を高く評価していました。
イヴェット・ギルベール
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《イヴェット・ギルベール》1894年
イヴェット・ギルベールはシャンソン歌手です。
ムーラン・ルージュでも歌っていました。
黒の長手袋がトレードマークで、舞台ではほぼ直立、歌に合わせて腕を動かして表現するのが彼女流でした。
ロートレックの、容赦ない人物表現…
それにしても顔がひどい(笑)
ギルベールは、ロートレックが描いた公演ポスターの原案を見て、悲鳴をあげたそう。(笑)
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《リンガー ロンガー ルー を歌う イヴェット・ギルベール》1894年
貧しい家庭に生まれましたが、歌手として大成功し、映画に出演したり、小説を書いてみたり、学校を作ったり、最終的にはレジオンドヌール勲章まで受章しています。
ラ・グリュやアヴリルとは大違い…というか、イヴェット・ギルベールがすごすぎるだけで、大半は2人のような人生を歩んだのかなと思ったり。