こんにちは!
箱根のポーラ美術館で開催中の「ライアン・ガンダー:ユー・コンプリート・ミー」展に行ってきました。
目次
ライアン・ガンダー:ユー・コンプリート・ミー

全18点の作品を鑑賞することができます!そのほとんどが日本初公開。今回のために特別につくられた新作もあります。かなり良かったです!超おすすめ!
チケット情報
大人2,200円、大学・高校生1,700円、中学生以下無料です。
このチケットで同時開催中の「ゴッホ・インパクト」も鑑賞することができます。
チケットの詳細はこちら
ロッカー
1階にあります。
音声ガイド

音声ガイドはありませんが、作品鑑賞ガイドの冊子(写真右)が置いてあるのでそれを読みながらの鑑賞がおすすめです!
ちなみに左のパンフレットのようなものは厚紙で出来ていて、開くと↓

こんな感じ。可愛すぎる。
写真撮影
写真・動画撮影OKです。
混雑
平日の午前中に行きましたが、空いていました。
同時開催中のゴッホ・インパクト展の方は結構人がいるな〜という感じですが、ダイアン・ガンダー展の方はみんなサッと見て出ていってしまうからなのか空いていました。
みんな置いてある冊子を読むんだ…そこに鑑賞の仕方が書いてあるよ…。
ライアン・ガンダー:ユー・コンプリート・ミー展 構成
ライアン・ガンダーってだれ?
Courtesy of the artist. Photography by Kazushi Toyota_IG. © Ryan Gander.
ライアン・ガンダーは 1976 年イギリス生まれ。現在はサフォークとロンドンを拠点に活動しています。
ガンダーは絵や彫刻だけでなく、映像・VR・テキスト・パフォーマンスなど、さまざまな表現方法で作品を生み出すことで知られています。
「決まった作風を持たないアマチュア哲学者」を自称し、身近な出来事のなかに潜む不思議をユーモアを交えて語りかけます。
個展は世界各地で開かれ、日本でも東京オペラシティ アートギャラリー(2022 年)や国立国際美術館(2017 年)などで紹介されました。
2017 年には大英帝国勲章を受章。
大学で教えたり、子どもたちを支援する活動にも熱心に取り組む“マルチ”なアーティストです。
作品

0. 周縁を中心に据えて / Centred on the periphery 2023
白地に黒線だけで描いた一枚の大きな旗です。強風時以外しっかり見ることは出来ないのでは。笑
ショップにこの旗の柄のトートバッグが売っているのでそこでどんな柄か見てみてください。
南米諸国連合、地球旗、英国海上保安庁、NASA、海賊旗、プログレス・ブライド・フラッグ、日本やドイツなど、既存の国旗や架空の旗が輪郭線として連なり、周縁的なモチーフが中央へと編み込まれています。
ガンダーは「誰が中心で誰が周辺なのか」という問いを、シンプルな線画でユーモラスに可視化しました。

1. 時間は止まるの? / Can time stop? 2025
カフェ「チューン」の中にあります。
直径約3 mの黒いインフレータブル・ボールに、質問文が白でプリントされています。
見上げる鑑賞者は、巨大な問いの下で時の流れを思わず立ち止まって考えます。

2. 影に音はあるの? / Do shadows have sounds? 2025
同サイズ・同形状の黒いボール第2弾。こちらはチケットカウンター近くにあります。
影という視覚的現象と聴覚を結びつける問いが、常識的な感覚の境界を揺さぶります。

3. 孤独なまま、幸せでいられるの? / Can you be lonely and happy? 2025
黒いボール・シリーズの3作目。
シンプルな疑問が自己の内面に跳ね返り、会場で過ごす“ひとり”の時間を哲学的に照らします。

4. 幾多の野望たちの亡霊(待合室) / A multitude of phantom ambitions (The Waiting Room) 2025
想像上の50件の展覧会ポスターを重ね貼りした、縦横3×3のグリッド。
最後に貼られた9枚だけが見え、下層に隠れた“あり得たかもしれない展覧会”は幽霊のように潜んでいます。ガンダーの尽きぬアイデアの厚みを物理的に提示する作品です。

5. クロノス・カイロス、3時02分 / Chronos Kairos, 03:02 2025
二つのデジタル壁掛け時計をわずかにずらして重ねたアルミ製オブジェ。
二重に読み取れる数字が“クロノス(連続時間)”と“カイロス(特別な瞬間)”の重なりを示し、目の錯覚で時間の複層性を体感させます。

6. 俺は…(Iviii) / I be… (Iviii) 2023
古い鏡に掛けられた埃よけの布を、大理石調の樹脂で忠実に再現。
覆いで映り込みを封じた鏡は「自己像を見せない」彫刻となり、鑑賞者は自分自身の不在を映し返されます。

7. 閉ざされた世界 / Closed systems 2024
息子バクスター(自閉スペクトラム症の特性)の熱中をヒントに、古玩具や分解されたゲームピースを整然と直線に並べ直したインスタレーション。

秩序と遊びの境界が愛情と共に可視化されています。

ドナルド

プーさん

クロミ?

8. 時を巻き戻して / Turn back your watch 2025
ゴッホが絵具代として兄テオから受け取っていた月額を、現代換算してスクラッチくじ175枚に換金。
額装内で当たり券だけをくり抜き、得た賞金は若手支援スペース〈ソリッド・ハウス〉へ再投資されています。
「芸術への資金循環」を可視化した社会彫刻です。

9. 輝くカルチャーフィールドへの舷窓 / Porthole to Culturefield Illuminated 2025
壁高くに取り付けられた発光ポートホールと梯子の数段。
手の届かない“向こう側”には、ガンダーが想像する理想郷〈カルチャーフィールド〉が広がるという設定で、創造的欲求をそそります。

10. 生産と反復を繰り返しながらも君は自由を夢見ている / You are repetitive and productive but you dream of being free 2025
ハト時計を改造し、定期的にカラフルなロボット鳥“Painted Bunting”が現れて寓話を語ります。

勤勉さと自由への希求という相反を、時計仕掛けの鳥がユーモアと共に告げる作品です。

11. アイディア・マシン / Idea machine 2024
壁面のチケットマシンのボタンを押すと、ガンダーが考案した未実現アートのアイデアが印字されて排出されます。

アイデアの共有と拡散を来場者に委ねるセルフサービス型作品です。

12. 物語は語りの中に / The story is in the telling 2025
壁穴から顔をのぞかせる二匹のアニマトロニック・マウスが、自分たちの起源をめぐって議論を交わします。

起こりうる物語は語り手によって変わることを示す小さな演劇です。

13. 君が私を完成させる、あるいは私には君に見えないものが見える(カエルの物語) / You Complete Me, or I see things you can’t see (A Frog’s Tale) 2025
観葉植物の鉢に潜むアニマトロニック・カエルが、人間の“意識し続ける困難さ”について独白。
見えない存在が私たちの認知を刺激します。

アニマトロニックのカエル、動きがなめらかで可愛い。ディズニーランドみたい。

展覧会タイトルと同じ名前の作品なので、グッズの帽子と記念撮影。

14. Arles(シリーズ絵画) 2025
ガンダーの父が1960年代に作ったスライドショー用タイトルをもとに、作家にとって思い出深い地名をキャンバスに描き出すシリーズ。
本作ではゴッホゆかりの〈アルル〉を淡い筆致で記し、記憶と場所の関係を絵画化しています。

15. すべてはカウントされている / Everything is counted 2021
展示ケースの床に落ちている極小アニマトロニック蚊が断続的に痙攣、しているそうなのですが、私が見ている間は特に動きませんでした。タイミングによるのかな?
生命のカウントダウンや数値化を象徴し、見落とされがちな存在へ目を向けさせます。

16. 時空からの離脱(ロンドン、マレ通り146番地) / Temporal Departures (146 Mare Street, London) 2024
鏡面ステンレスの実寸ドアに、実物元の落書きや掲示をバスレリーフで再現。
鑑賞者は自分を映す「今ここ」と、タイトルが示すロンドンの具体的住所との間で時間・空間を行き来する感覚を味わいます。

17. おばけには歯があるの?(答えばかり求める世界での問い) / Do ghosts have teeth? (Your questions in a world that only wants answers) 2025
ビリヤード球ほどの黒い樹脂球が展示ケース内一面に散在。
それぞれには子どもたちや友人が考えたユニークな質問文が白字で印刷され、新たな問いを加える余地も開かれています。
“答え至上主義”への静かな反論として、好奇心の球体が広がります。

「体に悪いってわかってるのに、なんでまたマクドナルド行っちゃうんだろう?」

「知ってる場所にまた行ったとき、それでも自分は観光客なのかな?」

「天国って、ほとんど年配の人でいっぱいなの?」

「映画館では、どっちのひじ掛けが自分のものか、どうやって判断するの?」わかる〜!笑
こんな感じで読むと結構面白くてずっと読んでしまう。

「孤独なまま、幸せでいられるの?」
エントランス前にある巨大ボールと同じ言葉が刻まれているボールもありました。
まとめ
ガンダーの作品は、はっきりした「答え」を示しません。そのかわり、小さなきっかけを通じて「あなたならどう感じる?」と問いかけてきます。
曖昧さを抱きしめながら、想像をふくらませる楽しさ、そんな体験を、箱根の森に包まれたポーラ美術館でぜひ味わってみてください!
カフェ&レストラン
レストラン「アレイ」

同時開催中の「ゴッホ・インパクト」展の記事内で紹介しているので、気になる方は見てみてください↓
カフェ「チューン」

作品の目の前でお茶することができます!最高すぎる!
同時開催中の「ゴッホ・インパクト」展の記事内で紹介しているので、気になる方は見てみてください↓
ミュージアムショップ

Tシャツ(柄3種類)、マグカップ、キャップ、トートバッグ、ストレスボール、虫よけ香などがありましたが種類少なめ。図録はありませんでした。ライアン・ガンダーの画集(洋書)は何種類かありました。
でも前オペラシティーであった個展では図録以外グッズはなかったような気がするので、むしろ今回はあるとも言える。

このネズミのTシャツは、前は文字、後ろにネズミのプリントです。
3サイズありますが、もうすでにSサイズは売り切れていて、他のサイズもかなり枚数が少なかったです。今後再入荷あるのかな?他のデザインのTシャツはたくさんありました。
Mサイズを購入しましたが、海外サイズなのかかなり大きいです。

キャップは、ベージュ、黒、赤がありました。後ろはこんな感じ。内側にはポーラ美術館のタグ付きです。
ライアン・ガンダー:ユー・コンプリート・ミー 概要
会期:2025年5月31日〜11月30日
住所:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285
休館日:会期中無休