静寂を描いた画家ハマスホイを超解説!時が止まったような絵?

こんにちは!

今回は、ハマスホイについてです。

早速見ていきましょう!

ヴィルヘルム・ハマスホイ(1864-1916年)

ヴィルヘルム・ハマスホイ《自画像》1895年

ヴィルヘルム・ハマスホイは、デンマークの画家です。

裕福

コペンハーゲンの裕福な家庭に生まれました。

8歳のとき、個人レッスンでデッサンを学び始めました。

15歳のとき、コペンハーゲンのデンマーク王立美術院に入学しました。

アカデミー落選

ヴィルヘルム・ハマスホイ《若い女性の肖像、画家の妹アナ・ハンマースホイ》1885年

21歳のとき、妹のアナを描いた上の絵を王立美術アカデミーの展覧会に出品しましたが、落選してしまいます…。

というのも、黒と灰色を主調としたモノトーンに近い色彩、曖昧な空間表現、自由なタッチなどが当時のアカデミーのが求める絵ではなかったためでした。

ヴィルヘルム・ハマスホイ《芸術家の母の肖像》1886年

24歳のとき、コペンハーゲンの歯科医で美術コレクターでもあったアルフレズ・ブラムスンが初めてハンマースホイの作品を購入しました。

以後、ブラムスンはハンマースホイのコレクター・後援者として、生涯にわたり画家を支援しました。

ブラムスンは画家の生前にいくつかの展覧会を組織し、画家の没後には作品目録の作成伝記執筆を行っています。

結婚

ヴィルヘルム・ハマスホイ《妻イーダ》1907年

30歳のとき、アカデミーで知り合った画家ピーダ・イルステズの妹のイーダ・イルステズ結婚しました。

彼女の姿はハマスホイの多くの室内画に登場しています。

静寂な室内画

ヴィルヘルム・ハマスホイ《室内》1898年

34歳のとき、ハンマースホイはイーダとともに11年間、コペンハーゲン、ストランゲーゼ30番地のアパートで暮らし、その室内風景を多く描きました。

ヴィルヘルム・ハマスホイ《読書する若い男のいる室内》1898年

上の絵のモデルは、ハマスホイの兄です。

このアパートで制作された室内画には同じ部屋が繰り返し描かれ、アパートのどの部屋のどの位置から描かれたかが正確に特定できます。

ヴィルヘルム・ハマスホイ《ピアノを弾く女性のいる室内》1901年

また、同じピアノ、テーブル、椅子、磁器製のパンチボウル、金属製のストーヴなどが多くの絵に繰り返し登場しています。

ヴィルヘルム・ハマスホイ《背を向けた若い女性のいる室内》1904年

室内の様子には生活感や物語をうかがわせるものがほとんどありません。

室内に描かれる人物は1人か2人で、後ろ向きであることが多く、正面向きに描かれたとしても顔のタッチがほとんどぼかされるか影に入っているうえ、人物は鑑賞者と視線を合わせないように描かれています。

ヴィルヘルム・ハマスホイ《陽光、あるいは陽光に舞う塵》1900年

さらには、人物のいない、無人の室内を描いた作品も少なくありません。

このように、ハマスホイの絵はタイトル以外、解釈の手がかりをほとんど排除しています。

同じ室内を繰り返し描く点などフェルメールのオランダ絵画の影響が指摘されていますが、白と黒を基調としたモノトーンに近い色使いと静謐な画面は彼独自のものです。

ヴィルヘルム・ハマスホイ《海の上の太陽》

室内画のほか、肖像画、風景画なども制作しています。

肖像画のモデルは家族と親しい友人に限られ、その多くは、人物が鑑賞者と視線を合わせないように描かれています。

ヴィルヘルム・ハマスホイ《5人の肖像》1901年

複数の人物を描いた集団肖像画においてもその点は同様で、画家の弟や友人らを描いた上の作品では、描かれた5人の人物は互いに視線を交わすことなく、自らの内面と向き合っているようにみえます。

ヴィルヘルム・ハマスホイ《コペンハーゲンのアマリエンボー広場》1896年

宮殿などの建物や都市近郊の風景を題材にした風景画も制作していますが、ハマスホイの描く風景には人物がほとんど登場しません。

こうした静寂寂寥感は、ジャンルや制作時期を問わず、ハマスホイの作品全般に通じる特色です。

ヴィルヘルム・ハマスホイ《ピアノを弾く妻イーダのいる室内》1910年

45歳のとき、この30番地のアパートは所有者が変更したため引き払いました。

49歳のとき、筋向いのストランゲーゼ25番地に移りました。

名声の高まり

44歳のとき、デンマーク王立美術院総会会員に就任し、46歳のとき、同評議員になりました。

47歳のとき、ローマで開かれた国際美術展第一等を獲得しました。

この頃、ヨーロッパ各国で個展が開かれるようになり、評価が進みました。

遺作

ヴィルヘルム・ハマスホイ《室内、ストランゲーゼ25番地》1915年

晩年のハマスホイは病弱で、50歳のとき、母を亡くしたショックもあり、この頃の作品には未完成のまま筆を置いたものが多く、死の前年には遺作となった上の絵を1枚制作したのみでした。

51歳のとき、コペンハーゲンで咽頭癌で亡くなりました。

まとめ

ハマスホイは、時が止まったような静寂な室内画を描いた画家