ワシントン大統領もだまされた?!画家ピールについて解説!

こんにちは!

今回は、面白いだまし絵を描いた画家ピールについてです。

早速見ていきましょう!

チャールズ・ウィルソン・ピール(1741-1827年)

《ピールとアンジェリカとレイチェルの肖像》1782-1785年

チャールズ・ウィルソン・ピールはアメリカの画家です。

メリーランド州クイーンアンズ郡チェスターで生まれました。

画家を目指していたワケでなくて…

《ウィリアム・クラーク》1810年

ピールは画家を目指していたというよりも、手先が器用だったので、絵も上手く描けた、というタイプでした。

13歳のとき、鞍作り職人の弟子になり、20歳で独立して鞍の店を出します。

しかし、ピールが「自由の息子達」という、アメリカの独立を目指す人々が結成したグループに入っていることが、

ロイヤリスト(アメリカ独立戦争でイギリスを支持した人たち)の客にバレ、彼らが共謀してピールの店を破産に追い込みます…。

その後、肖像画を描く才能に目覚め、画家コプリーやベンジャミン・ウエストの下で勉強します。

社交的で情熱的

《ナサニエル・グリーン》1783年

1776年、アメリカがイギリスから独立します。

7月4日はアメリカの独立記念日です。(毎年お祭り騒ぎで有名ですね)

ピールは、そんな新たなアメリカの政府を熱烈に支持し、アメリカの著名人や大陸軍の士官などの肖像画を描きます。

ワシントンの肖像画を60点近く描いた

《ジョージ・ワシントンの肖像》1772年

ピールはとても多作で、千枚以上の歴史的有名人の肖像画を描きました。

中でもアメリカ初代大統領ジョージ・ワシントンの肖像画を約60点描きました。

《シェイクスピアのシンベリンのフィデールとしてのナンシー・ハラム》1771年

そんな多作なピールですが、女性を描くのは苦手だったようで、若い女優の顔も、ワシントンのような顔で描いています。(笑)

ワシントンが騙された「だまし絵」

チャールズ・ウィルソン・ピール《階段の群像(ラファエル・ピールとティシアン・ピールの肖像)》1795年

等身大でピールの息子ラファエル(下)とティティアン(上)が描かれています。

この絵、なんと絵の下の部分に本物の階段がついています。(笑)

さらに、絵の周りを木枠で囲むことによって、より「本物」感を演出しているだまし絵なんです。

絵を見に来たワシントン大統領が、絵の中の人を本物の人間と間違えて会釈した、なんてエピソードもあったりします。

この絵には面白いパロディがあります…↓

博物館を最初期につくった

ピールは、アメリカで博物館を作った草分け的存在でもあります。

ピール博物館(フィラデルフィア美術館)を設立し、上の絵もそこに飾っていました。

ピールはこういうワクワクするような展示をするのが好きで、民族衣装を着た実物大の蝋人形を展示したりもしていました。

イッツアスモールワールドのリアル版かな?こわいな?

チャールズ・ウィルソン・ピール《ピール博物館の入場券》1794年

上のだまし絵のラファエルの足元になにか落ちていますよね?

実はこれ、ピール博物館の入場券です。芸が細かい。

現在、だまし絵と入場券はフィラデルフィア美術館所蔵で、絵のにこの券が飾られています。

なんだかシュールで面白い。現代アートっぽいな。(笑)

《彼の美術館の芸術家》1822年

ピール博物館では、植物、生物、考古学的標本、マンモスの骨など、多種多様なものが展示されていました。

上の絵は、ピールが描いた自分の博物館の絵です。七面鳥野放し…??

最初は経営も上手くまわっていましたが、最終的には失敗し、博物館は残念ながら残っていません。

まとめ

ピールはアメリカの著名人の肖像画を数多く描いた画家
・博物館を最初期に設立