妻への罪の意識 ロセッティ「ベアタ・ベアトリクス」を超解説!

こんにちは!

今回は、ロセッティの《ベアタ・ベアトリクス》を解説します。

早速見ていきましょう!

ベアタ・ベアトリクス

ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ《ベアタ・ベアトリクス》1864-1870年

死の瞬間を描いた作品

イタリアの詩人ダンテ『新生』という詩をモチーフにした絵です。

タイトルの「ベアトリクス」は、イタリア語圏では「ベアトリーチェ」です。

ダンテの永遠の恋人ベアトリーチェが、25歳でこの世を去った瞬間を描いた作品です。

ベアトリクス

 

目を閉じて恍惚の表情を浮かべています。

ロセッティによると、天上世界へ一瞬にして移るときの恍惚の表情だそう。

現代の広告に見るモデルのポーズは、この作品がルーツだともいわれています。

絵のモデルは妻のリジーです。

リジーとは、約10年越しに結婚しましたが、2年後に薬(阿片)の過剰摂取で亡くなりました。

この作品は、その2年後に描かれており、彼女の死を嘆き悲しむ気持ちと、罪の意識から描いた作品でした。

というのも、ロセッティは、リジーと結婚する前も結婚した後も、ジェーンやファニー、アニーなど他の女性と遊び続け、リジーはそのことに大変苦しみ、薬を大量に服用するようになったため、ロセッティが死に追いやったようなものでした。

神の使いの鳩とケシの花

 

黄金の輪は、神の使いであることを示しています。

鳩がくわえているケシの花死の象徴です。

また、白いケシの花(ポピー)の花言葉は「眠り」です。

ケシの花といえば、品種によっては、阿片を採取することができ、リジーの死因も暗示しています。

死の時刻

 

日時計が「9」のところに影を落としています。

これは、ベアトリーチェが亡くなった1290年6月9日9時を表しています。

背景の2人

 

愛の使者が、ベアトリーチェの生命の炎のようなものを手のひらに持っています。

 

ダンテが愛の使徒を見つめています。

象徴的な橋

 

遠くにあるヴェッキオ橋は、ダンテの物語の舞台であるフィレンツエの街を表しています。

また橋は、天上と地上を繋ぐモチーフでもあります。

ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ《ベアタ・ベアトリクス》1871-1872年